「なんて綺麗な姫なんだ…」
「…!?」
目は開けたくないから見れないけど、演技力がすごい…
宙のくせに…
不覚にも、王子様がかっこいいだなんて思ってしまう。
宙は何だってできる。
勉強に運動、家事に……演技。
全て宙に負けてしまうなんて悔しすぎる。
唇を噛んで、じっと自分の番を待つ。
徐々に宙が近づいてきているのを感じる。
「まるで眠っているようだ」
「ひっ!…さ、触らないでよ!」
隣に立ったのがわかった時、セリフを言った宙は私の髪をそっと撫でた。
思わず目を開けて飛び起きてしまった私。
「おい、危ねーじゃねーか」
「私に触らないで」
「仕方ねーだろ?台本にそう書かれてんだから」
そう言われて台本を見ると、確かに〝セリフを言いながら、白雪姫の髪をなでる〟と書かれていた。
「それでも……!」
嫌なものは嫌。
「茉奈ちゃん、台本通りにお願いね?」
嫌だと訴えたが、リーダーには勝てず……
気を取り直して演技が再開される。



