「もういいでしょ?キッチン戻るからそこ避けて」
俺がせっかく貼ってやったのに、終わるなりすぐこれだ。
「お前にやらせてたら、夕飯何時になんだろーな?」
「うるさい!文句あるなら食べなくていい!」
「あ、俺の分もちゃんと作ってくれてんだ?」
俺がそう言ってからかうと、やってしまったみたいな顔をして俺を見る。
「ち、違うし。たまたま多く出来ちゃったから、ついでに作ってあげてるんだから。感謝してよね」
「ふっ…はいはい」
意味もなく頑張って否定する茉奈。
思わず笑みがこぼれる。
俺の態度に不機嫌なままキッチンに戻って行った茉奈。
また包丁を片手にみじん切りに挑戦をしてるみたいだけど、すごい音だ。
軽快じゃない。
ドン、ドンという音は、聞いているだけでも危険しか感じない。



