「あ、そっか。
向こうだとこの時期けっこうあったかいよな、もう半袖でもいけんの?」
「それはまだ早い」
「5日って、そんなにこっちにいるの?
大学の授業とか、大丈夫?」
信号が青に変わり、横断歩道を渡る。
その途中で、行哉ではなく來世が思いっきり顔をしかめて答えた。
「そっれがさー、聞いてくれよ思葉。
おれら明日から新学期だろ?
だけど行哉の大学、授業が始まるのは来週からなんだってよ。
しかも月曜日は全休だから実質火曜スタートだし」
「え、そうなの?
じゃあ行哉くんはまだ春休みってこと?」
「ガイダンスは終わったけどな、でも授業まで暇だから帰ってきた。
日曜には向こうに帰る」
「ふうん、大学って意外とのんびりなんだね」
「まあ、おれの学部だと2回生の前期は割と暇だな。
他がどうなのかは知らんが」
「いいよなー、週休3日って。
おれらなんか土曜日なんてほとんど休みじゃねえのに」
「進学校に文句言っても始まらないでしょ」
「それ、よくおれが思葉に言ってるやつじゃん」
來世の足が道端の小石を蹴る。
小石は白と橙と焦げ茶できれいに舗装された地面を転がり、電柱の足元にぶつかって止まった。



