雲外に沈む 妖刀奇譚 第弐幕






けれども、行哉にはそういう部分がなかった。


前に述べたところもあって口数はとても少なく、表情を崩すことも滅多にない。


慣れてくれば微妙な変化から読み取れるようになるが、それができるのは血縁者以外だと思葉や永近ぐらいだろう。


おじいちゃんっ子だったせいか、口調も若者のそれにしては少しかたい。


気を利かせた言葉を発するのも苦手だ。


付き合いの場に足を運ぶことも消極的である。


無口で無愛想。


彼と交流をした者はみな、そのような類の印象を持つだろう。


溜めこむ兄と、どんどん吐き出す弟。


この二人は幼いときからこんな感じだった。


行哉は大学という広い場所で生活しているからか、前よりは口数が増えているけれど、それでも來世や思葉に比べればずっと少ない。



(本っ当、この兄弟平均したら人並みになるよね)



いつだったか、行哉は後から生まれてくる弟のために、コミュニケーション能力の半分を母のお腹に置いていったんじゃないのかと本気で考えたことがあった。


駅の東口を抜け、交差点に立ち止まったところで、來世が旅行鞄を背負い直す。



「よっと、……やっぱり5日分の荷物となるとそれなりに重いな、これ」


「しばらく必要ない冬物も入っているからな」