雲外に沈む 妖刀奇譚 第弐幕






思葉は行哉の肘のあたりを指でつついた。


また來世が笑う。



「だよなあ、てかそもそも、おれら一発で兄弟だって言われること少ねえし」



小学校入学前からの付き合いであるこの兄弟は、あまり似ていない。


外見はよく観察すればそれなりに共通点があると分かるが、中身がまったく違うのだ。


彼らの性格をそれぞれ大雑把に一言で言い表すなら、來世は気まま、行哉は真面目である。


來世は思ったことや考えたことがそのまま口に出るタイプだ。


自分の感情に素直であっけらかんとしている。


反対に、行哉はその一歩手前で立ち止まり、深く考え、慎重に選択したわずかな言葉だけを喋る。


そして大半は自分の中にしまい込むのだ。


人に対する接し方も異なる。


とても人懐っこい來世は、大抵の人間とならすぐに打ち解けられ、あっという間に懐に滑り込んでしまう。


気難しそうな新任の数学教師と真っ先に仲良くなっているのを見たときは驚かされた。


時折失礼なことを口にしても、余程のことがない限り「しょうがないなぁ」という雰囲気で許されてしまうし、普通の人が言ったら嫌味に聞こえそうなこともさらりと口にしてのける。


なかなかに見事な、器用な男なのだ。