雲外に沈む 妖刀奇譚 第弐幕






「さっきホームで会ったのよ。


同じ車両に乗って……いたかな?」


「ああ」


「あれ、そうだったの?全然気づかなかった」


「むしろ気づいた行哉がすげえよ。


この時間帯ならけっこう混んでるだろ、電車の中って。


そんなとこでちびな思葉を見つけんのって、『探せ!ヲーリー』並に難しいぞ」



來世が思葉の頭をぽんぽん撫でる。


その手をつねり、ついでに踝(くるぶし)のあたりを蹴ってやった。



「ちびで悪かったわね、平均身長もありませんよーだ。


むしろあんたがでかすぎんのよ、ばか來世」



來世が蹴られたところを押さえてうめく。


手加減したのに大げさだ。


それを見た行哉が呆れた表情になった。


身長がいくらなのかは知らないが、辻森兄弟はどちらも長身だ。


150センチしかない背丈の思葉に比べるとゆうに高く、見上げなければ彼らと目を合わすことができない。


いつの間にここまで差が広がったのだろう。


ちらりとそんな疑問が頭をかすめ、消えていく。



「いってえ、蹴ることないだろ。


ったく、短気で暴力的だよな、カルシウム足りてんのか?


だからいつまで経っても成長しないんじゃねえの?」


「來世、今度は股間を蹴るわよ」


「うわっ、うわっ、聞いたか行哉、おまえ子どもができなくなるぞ」


「おれを巻き込むな、行くぞ」