「さっきホームで会ったのよ。
同じ車両に乗って……いたかな?」
「ああ」
「あれ、そうだったの?全然気づかなかった」
「むしろ気づいた行哉がすげえよ。
この時間帯ならけっこう混んでるだろ、電車の中って。
そんなとこでちびな思葉を見つけんのって、『探せ!ヲーリー』並に難しいぞ」
來世が思葉の頭をぽんぽん撫でる。
その手をつねり、ついでに踝(くるぶし)のあたりを蹴ってやった。
「ちびで悪かったわね、平均身長もありませんよーだ。
むしろあんたがでかすぎんのよ、ばか來世」
來世が蹴られたところを押さえてうめく。
手加減したのに大げさだ。
それを見た行哉が呆れた表情になった。
身長がいくらなのかは知らないが、辻森兄弟はどちらも長身だ。
150センチしかない背丈の思葉に比べるとゆうに高く、見上げなければ彼らと目を合わすことができない。
いつの間にここまで差が広がったのだろう。
ちらりとそんな疑問が頭をかすめ、消えていく。
「いってえ、蹴ることないだろ。
ったく、短気で暴力的だよな、カルシウム足りてんのか?
だからいつまで経っても成長しないんじゃねえの?」
「來世、今度は股間を蹴るわよ」
「うわっ、うわっ、聞いたか行哉、おまえ子どもができなくなるぞ」
「おれを巻き込むな、行くぞ」



