「うわあ、久しぶり、まさかこんなとこで会うなんてびっくりだよ。
あっ、もしかして今ちょうど戻ってきたところなの?」
「ああ」
行哉が軽く肩をすくめる。
片側には重そうな旅行鞄を提げていた。
取っ手には欠伸をしている三毛猫のアップリケ、小学校の修学旅行のときから使っている鞄だ。
行哉は物を長く大切に使う。
「……行くぞ、突っ立っていたら邪魔になる」
「うん」
ちろり、と人の流れを見て、行哉が改札へとつながる階段へ歩き出す。
思葉が隣に並ぶと、さりげなく荷物を一つ持ってくれた。
「ご、ごめん、大丈夫だよ、このくらい持てるし」
「さっき転びかけていただろ」
「う」
「來世が迎えに来ているはずだから、あいつに持たせればいい」
その通り、改札の向こう、ちょっとした待合スペースになっているベンチに來世が座っていた。
降車客に混ざって歩いてくる兄を見つけて片手を挙げようとして、思葉が一緒にいることに気づいて驚いた顔つきになる。
「やっほ、來世」
「おう……何で思葉が行哉と一緒にいるんだ?」



