雲外に沈む 妖刀奇譚 第弐幕






「うわあ、久しぶり、まさかこんなとこで会うなんてびっくりだよ。


あっ、もしかして今ちょうど戻ってきたところなの?」


「ああ」



行哉が軽く肩をすくめる。


片側には重そうな旅行鞄を提げていた。


取っ手には欠伸をしている三毛猫のアップリケ、小学校の修学旅行のときから使っている鞄だ。


行哉は物を長く大切に使う。



「……行くぞ、突っ立っていたら邪魔になる」


「うん」



ちろり、と人の流れを見て、行哉が改札へとつながる階段へ歩き出す。


思葉が隣に並ぶと、さりげなく荷物を一つ持ってくれた。



「ご、ごめん、大丈夫だよ、このくらい持てるし」


「さっき転びかけていただろ」


「う」


「來世が迎えに来ているはずだから、あいつに持たせればいい」



その通り、改札の向こう、ちょっとした待合スペースになっているベンチに來世が座っていた。


降車客に混ざって歩いてくる兄を見つけて片手を挙げようとして、思葉が一緒にいることに気づいて驚いた顔つきになる。



「やっほ、來世」


「おう……何で思葉が行哉と一緒にいるんだ?」