「なにがもちろんだ、ばか。
いいか、そんな恰好は絶対にするなよ、せめて家の中だけにしろ。
おまえだって一応は年頃の娘だろう。
永近ならともかく、他の男の前であんなに肌を出したら」
「あーはいはい、善処しますよ」
「真面目に聞いているのか、思葉」
「聞いてます、でも続きは帰ってから……っと」
後ろから、雑多な空気に負けないくらい元気な男の子たちの声が近付いてくる。
何を言っているかまでは聞き取れなかったけど、エネルギーいっぱいであることは伝わってきた。
声と一緒に、ブレザー姿に大きなエナメルバッグを肩に掛けた高校生の集団が思葉の脇を追い越す。
野球部だろうか、全員坊主頭だった。
どこの制服だったか、そんなことをぼんやり考えていると、余所見をしていたせいか足元がふらついた。
その拍子に、どん、と何かに衝突する。
「ふわっ?」
物にしては柔らかく温もりがあった。
引き締まった肉の感触だ。
反動で後方に倒れそうになった思葉の身体を、ぶつかったところから伸びた腕が支える。
思葉の足がたたらを踏み、みっともなく転ぶ事態は免れた。



