話がかみ合わないことに先に気付いた珒砂が待ったをかける。
いつの間にか玖皎と轉伏もこちらに来ており、玖皎が思葉の両肩を掴んだ。
「おい思葉、今の話はどういうことだ」
「ど、どうって、そのままだけど?」
「もう一度最初から、順を追って話せ。ここでいったい何があったのか」
思葉はゆっくり深呼吸をして、玖皎たちに今日あったことを説明する。
松山から聞かされた、春休み中にオカルト研究部が行った怪しげな儀式について、唐津涼子という謎めいた3年生について。
そして矢田に呼び出されてこの神社にやって来たこと、豹変した矢田、彼女に組みつかれた後に見た謎の記憶、偽物の玖皎の姿をした何か……すべてを話し終えると、3人はそれぞれ腕を組んで唸っていた。
「なんというか…思葉ちゃんって変わってるよね。
ここまで無防備な無鉄砲は初めてだよ、ほんと、感心する」
「同じことを二回も言わなくていいから」
「あ、気に触った?」
相変わらず軽い轉伏の肩を思葉はばしりと叩く。
それに対してなのかはたまた別のことに対してなのか、珒砂が舌打ちをして地面を踏み鳴らした。
「あー……なんで阿毘が4人もいて気づかないんだよ、ったく。
少なくとも、こいつを操っていたのと最後に思葉を襲っていたものは別物だ。
いくら長い間他の霊を取り込んで力を付けた獣の霊でも、人語を操るほどの力は身につかねえよ。
だからどう考えてもこれには他の奴が絡んでいるってのに……なんで誰も気づかなかったんだよ、それを!」
「だよねえ。どう考えても獣の霊が生者の魂を引き込むことなんてできないし、普通に考えればおかしな話だ。
それなのにぼくら、いつの間にかその地縛霊と思葉ちゃんを引き込んだものを同一視していて、思葉ちゃんにそれを指摘されるまで気づかなかった。
……自分に目を付けられないような術でも仕込んでいるのかな?
だとしたら、今回の中核にいる奴はけっこう面倒だよ。阿毘の目すらごまかすような妖術、そう簡単には身につかないからね」



