「今はあの絵面が思葉の害にしかなっとらんだろうが」
「あ、ごめん、そういや思葉ちゃん人間だったね。
どうにも人らしくない部分が強いから、ぼくらと同類っていう認識になっちゃうんだよね」
「さんざん人間だと言っていたくせに何を宣うか」
「それはそれ、これはこれだよ」
あはは、と呑気に笑う轉伏の頭を珒砂が無言で叩いた。
そのままずかずかと問題の阿毘に近づいてその背中を容赦なく蹴り飛ばす。
霊骸処理、もとい食事に夢中だった彼はべしゃりと倒れ、地面に打ち付けた鼻をおさえながら珒砂を睨みつける。
頭の横にずらされた黄色の鬼面、あの阿毘の名前は確か環玄と言っただろうか。
隈取りに似た象形の模様が走る顔は、血で汚れてはいるが整っている。
(あ、お面の下は、人と同じ顔をしているのね……)
なんとなく人離れした化物のような顔が隠されているのではと思っていた思葉は、予想が外れてホッとした。
「いってぇな!なにすんだよ!」
「おまえはいつまでちんたらそれ食ってんだよ!
他にも仕事はあるんだ、さっさと片付けろ!
アレでやったらすぐだろ!?」
「えー、あの食い方だと食った気がしねぇから嫌なんだよなー」
「霊骸処理を食事と思うんじゃねえって何度言えば分かるんだ。
つべこべ言ってないでさっさとしろ!」
「いちいちけるんじゃねえよ、痛えなぁ!」
「痛くしてんだから当然だろうがバカ!」
「わーかったから!」



