その解釈で合っているかと確認すると轉伏はうんうんと頷いた。
珒砂は今頃になってあれこれ説明したことを恥ずかしいと感じているのか、腕を組んでそっぽを向いた。
玖皎はというと、説明が終わった今でも渋い顔をしている。
轉伏が腰に手を当てて呆れた声音になった。
「まったく、真名を知っているというのに肝心の使い方を知らないで、土壇場で正しく使って助かるだなんて、どうして君たちはこうも危ない綱渡りが好きなの?」
「そ、そんなんじゃないわよ……」
「明らかに罠だと見え見えのところに突っ込んでいくのも、危ない橋じゃないって言い張るつもり?」
そこを突かれるのは痛い。
ウッと言葉に詰まった思葉の隣でようやく玖皎が口を開いた。
前髪を掻きあげて息をつく。
「それ以上責めてくれるな、轉伏。
今回のこれはおれのほうに落ち度があるんだ、すまん」
「本当だよね、危なっかしいご主人様なんだから、君にも見てもらわないと。
まあこうして役に立ったわけだし、ギャーピー騒いでた君を連れてきたのは正解だったね」
「轉伏が玖皎を連れてきてくれたの?」
「というより、こいつは勝手に本体を背負ってここに向かっていたんだ。
普通の人間には刀が宙を浮いて高速で通っていくように見えていただろうね。
ぼくたちが追いついて術をかけて見えなくしていたし、目撃した連中の記憶操作は陽曦(ひさぎ)に任せてきたから、その心配はないよ」
陽曦、とは仲間の阿毘のことなのだろうか。
それよりも、こうして戻ってきたのだから、自分の身に起こったことを話さなければ。
そう考えて口を開きかけたとき、ふわりと柔らかい風が鼻をかすめて、その中に嫌な臭いが混ざっているのに気づいた。



