雲外に沈む 妖刀奇譚 第弐幕






するとそこへ中谷がやってきた。


いたわるように思葉の肩にそっと触れる。



「皆藤さん、ちょっと早いけれど、今日はもう終わりにしていいわよ」


「え、でもあたし、まだ机のチェックもやってないし、冊数確認も途中ですし……」


「大丈夫、それはわたしがやっておくわ。


今日はなんだか不調みたいだし、おうちでゆっくり休んで。


分かっていると思うけど明日は図書室はお休みだから、また来週からよろしくね」



そう善意100パーセントで言われてしまえば何も言えず、思葉はあらかじめ持ってきていた鞄を

背負い、松山と共に図書室を出た。


廊下に出たところで松山が申し訳なさそうな声になる。



「皆藤さん、ひょっとして具合悪いの?」


「ううん、大丈夫、むしろ元気なくらいだよ。


実を言うとね……松山さんの相談したいことが気になって集中できなくて、それで今日はちょっと失敗が多かっただけなの」


「それはごめんなさい、でも、昼休みは人が多いからあまり話したくなかったのよ。


関係のない誰かに聞かれるのはとても嫌だからね」



話しながら松山が通りかかった教室を覗く。


そこは授業の際によく使用される空き教室で、学級と同じように机は並んでいるが誰もいなかった。



「丁度いいわ、ここにしましょう」


「うん」



松山に促されて、思葉は彼女と向かい合って座った。


時計を見遣れば完全下校まで20分ほどある。


同じように時間を確認した松山がにっこり笑った。


脚を組み片肘を机についている松山は、同性の思葉の目にも妙に艶っぽく見える。


なのに恋人がいないのは、やはりオカルト研究部員ということが絡んでいるのだろうか。