玖皎がニヤニヤと笑いながらさらりと下世話なことを言ってのける。
悪いとは言ったが、これは絶対に反省していない、明らかに楽しんでいる。
容姿端麗、眉目秀麗が台無しだ。
いわゆる残念なイケメン、というやつである。
「サイッテー!ほんっと信じらんない!」
思葉は文句をぶつけたかったが恥ずかしさと怒りで思うように言葉を見つけられず、枕を思い切り投げつける。
けらけらと笑っていた玖皎がそれをよけ、その弾みで床に転がったので少しだけすっきりした。
クッションやぬいぐるみも投げつけてやりたかったが、手段がアレだったとはいえ助けてもらったのは事実なので我慢する。
玖皎もふざけたりからかったりするが、きちんと時と場合を考えるし、いつまでもそれを引きずるほど愚かではない。
身体を起こし胡座をかき直したときにはもう笑っておらず、真剣な目つきで思葉を見上げた。
「して、思葉よ。一体その傷をどこで受けてきたのだ?」
「……学校で。クラスメイトの子がちょっと苦しそうにしていて、そこに駆け寄ろうとしたときに光が見えたの。
そしたら急に左手が痛くなって、見たら傷ができてたんだけど、瞬きしたらすぐに消えちゃった」
「なるほど……なら、おまえを狙っていたのではなく、通りかかった者を当てずっぽうにといった具合か」
「そうなの?」



