わずかな刺激もすべて、痛みとなって思葉の左腕を攻撃する。
苦悶の表情で額を床にすりつける思葉に、玖皎は手を引っ込めて戸惑う。
「おい、思葉」
「いっ……痛い、痛いよ、いた、い……」
最早、思葉は自分が何を言っているのか、どういう状態でいるのかも分かっていなかった。
思葉は泣きじゃくり、うわ言のように「痛い」と繰り返して左手首を強く握りしめる。
爪が白い肌に食いこんでいく。
無意識のうちか別の痛みで誤魔化そうとしていたが、まったく意味を成していなかった。
「思葉、どうした、どこが痛むんだ?」
玖皎は思葉の脇の下に両手を滑り込ませる。
加わった刺激に思葉の肩がびくりと跳ねたが、玖皎はそれを無視して主の身体を抱え起こした。
胡座をかき、腿に思葉を横抱きの格好で座らせる。
「左手が痛むのか?」
「いたっ……うっ、うぅ。痛い、いたいよ、ぉっ……」
問いかけてもまともに返事をしない。
聞くだけムダだと判断した玖皎が確かめようと思葉の左手を掴んだが、彼女は右手に相当な力をこめているらしく、びくともしなかった。
腕以外の箇所に触られるだけで痛いのだ、胸に引き寄せたまま身体を丸め耐えようとするのも無理はない。



