暗闇に咲く

気がつくと状況は一つも変わっていなかったが、そこに奴らはいなかった。
「はぁ。家茂兄さんは、元気なのかな?」
そんな事をポツリとつぶやいてしまった。
イカン、イカン。私と徳川家が繋がりがある事がバレたらダメなんだから。

「......殺してくれてもいいんだけどな。」
別にこの世に未練があるわけじゃないし
死ぬのが怖い訳じゃない。ならいっその事殺して欲しいと願う。「残念ながらテメーはまだ殺してやらねーよ。」
あ、あの時の心地良い声だ。
上を向くと長い黒髪を一つに束ね、まるで
役者のような顔立ちの男がいた。
「テメーが何をやっても吐かないって下っ端が言うもんでな、今日からは幹部直々に
してやるよ」「..........誰がやっても同じさ。
何も知らないから答えれない。わかる?」
そう答えると刀が首につけられた。生暖かい液が首を伝う。「幹部からの拷問は今までの拷問が生ぬるく感じるほどキツイぞ」
「........ふっ、ハハハハハハハハハハハっ」
ヤバい、笑いが止まらない。だってそうだろ、こいつらは馬鹿なのか?知らない話ができるかよ!「気でも狂ったのか?」
「くっくっ!い、いや。...全然正気だよ。
お前らホントに馬鹿 だな。だったら調べればいい。私が長州藩ではなく佐幕派だと
わかるだろーよ。」「ほぉ。なら名前と
生まれを聞こうか。」「......天川 氷桜。
生まれは江戸だ。」「山崎」「ハッ」「調べてこい」「御意に」そういって美人顔は
蔵を後にした。私あいつの事嫌いだ.....。