朝になっても、会社で藤枝さんに会ったらどうしようとか、何か言ったほうが良いのかとか


出社まで色々と考えていたけれど、こちらの心配をよそに、藤枝さんは特になんら変わりなく普通だった。


何か拍子抜けしちゃうよね。


まぁ、妙にギクシャクするよりはいいんだけど。


だけどそれはそれで尚更、藤枝さんが何を考えているのか分からない。


やっぱり、志賀から聞いた通り藤枝さん離婚してたんだ……。


だからと言って私達が元の状態に戻れるかと言えばそれは疑問だ。


嘗ては藤枝さんの事が本当に好きだったけど、やはり今となっては過去の恋なんだと思う。


漸くそう思えるようになったのだ。


もちろん、また同じ職場で働くようになって、正直、全く気にならないかと言えば嘘になる。


でもそれはあの時と同じ思いなのかと問われれば、やはり違うなって自分でも思う。


藤枝さんに不意に抱きしめられた時、一瞬で懐かしさを感じたものの、その胸にいつまでも沈んでいたいとは思わなかった。


どこか居心地悪く感じてしまった。


この場所はもう私の居るべき場所じゃないんだなって思った。


やはり私の中では完結した恋なんだな。


その後、藤枝さんから特に何もなかった。


と言うよりも、たまたま今週は藤枝さんが研修続きで外出している事が多く私にとっては好都合だった。


そして約束の週末はあっという間にやって来てーーーー