「秦野!」


別に期待していたわけじゃない。



だけど…風磨君から名前を呼ばれて、嬉しかった。



汗をタオルで拭きながらこちらに走ってきている。



「お疲れ」


「ハハハ。ありがと。
まだ終わってないけどな」


軽く笑いをくれる。



「練習、楽しめているみたいだね。

良かった」



「秦野は大丈夫なのか?


少し里桜から聞いたけど、保健室で休んでたって」



里桜…。


何でそんなことをいちいち報告するのよ…。


風磨君にはここまで迷惑をかけたくないって言うのに。



でもやっぱり、風磨君からの気遣いは嬉しい。



「今こうして風磨くんが私の心配してくれたから、ちょっと元気出た。


心配しないで。


心の問題が重なって、具合が悪くなっただけだから」