ドアはガチャンと重い音を立てて閉まり、やがて動き出した~。ゆっくり上昇していくが、ふと見るとルドルフボスが、いつもは見せない子供らしい笑顔で、目をキラキラ輝かせて、太陽に近づいていく観覧車の中から、下を見ている~。


ボスは、いつも過酷な任務の中で、オレたちを束ねるために、子供らしさを封印して、頑張ってるんだもんな~。偉いな~。連れてきてよかったな~。


オレは、狭い空間でしみじみルドルフボスの横顔を見つめていた~。


「父上にも、見せたかったな」


ルドルフボスが、ぽつりとつぶやいた~。その褐色の瞳は、いつのまにか地上ではなくて、遠い空のどこかを見ていた~。


「そうですね~、でも幽霊では、さすがにですね~……」


「分かっている、だが、憧れなんだ。父上と、いつか、親子らしく……。しかし、私は生前の父上を知らない。今更、どう接していいかも分からないんだ。親子らしさとは、何だろうな……」


そう、ルドルフボスとシュテファンボス(霊)が対面したのは、つい最近で、それまでは母親のアンナさんがルドルフボスの支えだった~。どう接していいか分からない、だからシュテファンボスに他人行儀な態度しか取ることができないんだろうな~。


「すまない、贅沢な悩みだったな」


ルドルフボスは、オレが孤児だったことを知っている~。思い出してくれたんだな~。こんなところが、ルドルフボスの魅力なんだよな~。


「いいんですよ~、こっちも父親気分をちょっと味わえてますしね~」


ルドルフボスは、ふっと笑った~。その笑顔は、シュテファンボスに似ていた~。






観覧車を降り、ショーを見終わったオレたちは、アジトに帰ってきた~。ショーでは、恥ずかしがるルドルフボスを、肩車してあげたんだぜ~。どっからどう見ても、いい親子(擬似)だったと思うぞ~。


「セルジュ、今日はご苦労だった。その……感謝する」


デスクに向かって、ルドルフボスが照れたように言ったんだが、近くにいたレイ先輩が驚いていた~。


「ルドルフボスがあんなことを言うなんて……。出張中、何があったの?」


「秘密です~。ところで、パウルは~?」


「あんたが出張に向かってしばらくして、突然『おお、この気配は!セルジュよ、我が仲間に!』とか何かの電波を受信したみたいに叫んでいたわよ。テレパシーみたいだったわね」


「……分かりました~。あとでぶん殴っておきますね~」


オレは拳を握りしめた~。