あまり長居するのは悪いので、それから少し話をして私は明来さんの部屋を出た。 太陽の日差しが強く、ミンミンとセミの声がする。 暑い中の帰り道。 私の気持ちは沈んでいた。 明来さん、綺麗な人だった……。 天野さんと同い年だから、あの人は35歳。 でも……綺麗な人だ。 「敵うわけ、ないよ……」 苦しいくらい、実感した。 天野さんは今でも明来さんを想ってる。 明来さんも、今でも彼を……。 2人の間に、私が入り込む隙なんて1ミリもないんだ。