空琉って……うん。


 ウチとは、母親同士が仲良しで、同い年の幼馴染だ。


 お互い旦那がいないって言う事で、家族ぐるみで助け合って暮らしてたぐらいだから、良く知ってるはずだった。


 もともとイケメンで、人気があったけど……基本地味でちょっと怖いほど……まじめ。


 いつも、染めたように真っ黒な短い髪で、制服をこんな風に着崩すなんて、あり得ない。


 幼稚園からずーーっとサッカーやってて。


 今も、夏休み前までは、校庭で追いかけているのは、女のヒトじゃなくサッカーボールだけだったはずなのに!


 今年の夏休みは、何やら用事があるって、全然会えなかったけど。


 久しぶりに会った、空琉。


 なにかすごく……変だ。


 朝の予鈴前。


 生徒が普通に行き来する昇降口そばの廊下の壁に、びっくりしているわたしを追い詰める。


 そして、言った。