『ピーンポーン…ピーンポーン…ピーンポーン』

インターホンの音で目を覚ました。

まだふらふらとした上半身を起こす。

そこで、自分が玄関にいることに気付いた。

「あぁ、昨日…」

独り言をを言い終わる前に、昨日の出来事が頭の中にぼんやりとよみがえる。

背中にゾクッとした寒気が走った。

ダメだ。あんなことは思いだしてはいけない。

すべて夢だった、昨日は疲れていただけだ、そう自分に言い聞かせた。

それでも、思い浮かぶのは血の雨の中を、

得体のしれない何かに脅え、必死に逃げる自分の姿。

落ち着かず、歯がわずかにガタガタと震える。

「水でも飲めば落ちつくかな…」

そう小さくつぶやいて、キッチンに向かった。