外に出るともう雨はやんでいた。 雨上がりの湿った匂いに街全体が包まれている。 傘を買えた嬉しさからか、それとも彼女…時雨さんに会えたからか、とても気分が良かった。 もう少し散歩していたいとそんな気持ちになって、来た道を戻るように路地へ向かった。 雨が降っていないときに、路地へ行くことはほとんどない。 だから、凄く新鮮な気もするが心のどこかでは『雨降ってくれ』と願っていた。 せっかく買ったこの傘を使ってみたくて。