+ + + + 「匠くん…どこ行くの…」 私はゼエゼエと息を切らしながら、必死に足を前に動かす。 遠くにいる匠くんに、手を伸ばすけどそれは届かなくて。 「…俺は、夏希が――」 匠くんは確かにそう言った。 …また夏希? 「ねぇ、夏希って誰なの…?」 私は君に届くよう、大きな声を出す。 私に背中を向けていた匠くんが振り返る。 そして 「…夏希は、俺の―――」 + + + +