「…もう、大丈夫」 どれくらい時間がたっただろう。 何分、いや、なん十分? 止まない涙を頑張って止めて、 私は隼人くんに声をかけた。 「よし、じゃあ帰ろっか!!」 目尻に残った涙を拭っていると、隼人くんがそういって立ち上がる。 「あ、あのさ!」 「…どうかした?」 扉の方へ向かう隼人くんを、大声で呼び止める。 振り返った彼の表情はとても優しくて、さっきまで私が泣いていたことをなかったようにする。