兄貴は肩をすくめた。 「さあ、どうだろう? 起こり得なくはないと思うけどな」 「オレは信じられない。時間をさかのぼる? 異常だ。あり得ない」 「奇跡の宝珠の預かり手で、不思議な能力の使い手が、頭から、異常を否定するのか?」 兄貴は、無駄にさわやかに笑った。 「オレは白獣珠の力を見たことがない」 「軽々しく使うものではないからな。でも、もしも師央が使ったのなら……」 水音がやんで、兄貴が言葉を切った。 皿洗いを終えた師央が振り返った。