伯父の手のひらが宝珠に触れた。 彼はささやいた。 「白獣珠《はくじゅうしゅ》よ、応えよ。この者、師央を過去へ連れてゆけ。代償は、ここにある」 伯父は自らの胸を指し示した。 まだ動く心臓を収めた、左の胸を。 白獣珠が、猛虎が牙を剥くようにギラリと輝いた。 一条の白い光が伯父に突き刺さる。 少年が目を見張った。 「伯父さ……」 少年の姿が掻き消えた。 白獣珠もまた、少年の手にいだかれて去った。 ひとり残された伯父は、すでに息絶えている――。