「別の道から回って帰るぞ」 鈴蘭が、例の怒ったような顔でオレを見上げた。 「彼らはどうするつもりですか?」 「ほっとく」 「痛がってるじゃないですか!」 「殴ったからな」 「何でそんなに暴力的なんです?」 「向こうから突っかかって来た」 「確かにそうだけど、過剰防衛です!」 うるさい。面倒くさい。 「おい、師央。さっさと行くぞ」 師央は、うなずくついでにうつむいた。 目に涙がたまっているのが見えた。 鈴蘭も、師央の表情に気付いたらしい。師央の顔をのぞき込んだ。