赤いエスプレッソをのせて

これは赤い水でも、ジュースなんかでもない……血だ。

千代の頭から、からだのあちこちから、だくだくとオビタダシい量の血が溢れてるんだ。

私が、殺した時のように――。

「ぃ、ひ……っ」

「――ねぇっねえ」

思わず退こうとした私の手を、血まみれの指がしっかりと取った。

瞬間的に、まるでその手から電撃が発せられたように、からだが縮み上がるのがわかった。

すぐ横にしゃがませようとする手を振りきって、

「? 美代ネ、」

「やめてよ!」

不思議そうな顔をする妹を、突き飛ばした。

軽いからだが、簡単に砂場の上に崩れる。

その様が、異様なまでにスローモーションに見えた。

そして気付いたら、彼女を突き飛ばしたように、本当に突発的な、叫んでいた。

「もうやめてよ! いっつもそうやって、私は傷ついてるんですみたいなの見せんの!! もういい加減、いい加減私のことも考えてよねっ!? アンタのせいで私、私……!!」

「黒井さんっ!」

「っひ!?」