赤いエスプレッソをのせて

あれは中学二年生の時分。

なんとも古風に、下駄箱にラブレターなんてものが入っていたのだ。

差出人は、学年でもカッコイーってことで競争率の高かった男の子。

別にそれほど好きじゃなかったけど、学年人気ナンバー1の男の子を私物化できるっていうのがおもしろくって、一も二もなく申し出をOKした。

それから一週間しないうちに、またもや下駄箱に手紙が入っていた。

見た目はラブレターのようだったけど、それが実は、先輩女子数人から送られた呼び出し状だった。

とりあえず彼氏がいることだし、断ろうかなと出向いた私は――待ち合わせ場所へ行っていまさら、おかしいと思った。

どういうわけか待ち合わせ場所が、女子トイレだった。

いくらなんでも途中で不審に思って引き返そうとした時には、後ろから羽交い締めにされ、トイレの中へ拉致された。

トイレの中には先輩方がいて、もう、顔も名前も思い出せないけど、ひとりが言った。

お前の髪がうざったいんだよ。