赤いエスプレッソをのせて

緩い坂道を上りきると、さすがに現役ではないから体力が衰えて、膝に手をついてしまった。

喉の奥がヒリヒリするような乾きが、春の日差しと一緒に私を押し潰す。

ちょっと、ばてました。いつのまにか、こんなに息があがるようになってたなんて。

「も……ちょっと無理……あー、私も落ちたなぁ~……」

私が髪を切られたのは、いじめみたいなもんだった。

世の中の男子諸君がいったい、我ら女子にどんな希望を抱いているかは知らないけど、もし『清楚可憐』って感じの女がタイプだったら、即刻、そんな現実逃避じみた夢幻の高望みは諦めたほうがいい。

女ってのは結構陰湿ですさまじい、ある意味土では男子がギャーギャー騒ぐよりもタチが悪い過激ないたずらやいじめを、平然とやっているんだ。

たとえばそうね、並べ立てちゃうなら金取りだとかマワシだとかが特にひどい例かしらね。

で、私の場合は、断髪だった。