赤いエスプレッソをのせて

(どうして?)

フラフラと進み――

、、、、、、、、、、、、
血で真っ赤になっている彼に、抱きついた。

「……驚いてよ」

言ってみたが、彼の体はぴくりともしなかった。

そして、変に強張っていた。

彼の体は、私を受け止めようとしてくれていなかった。

胸に耳を押し当てても、ジトリとした感触が伝わってくるだけで、鼓動が聞こえない。

それは、彼が止まってしまったということだった。

時間から、世界から、外れてしまったということ。

   、、
もう、ここにいない。

頭の中にいろいろ、本当ならしなくちゃならないことが巡った。

警察に連絡したり、無駄でも病院へ電話したり……

パニックになったりしなきゃいけないんだろう、私は。

でもそんなこと、億劫だった。

だって、彼が死んだんだ。

そう、

 、、、
(死んだ――なんで、死んだ……!!)