赤いエスプレッソをのせて

生きる知恵なんていったら聞こえがいいかもしれないけど、それをやっている私から言わせれば、ただの逃亡者に過ぎない。

現実に目を向ける、意気地無しの逃亡者。


れが私。

だから千代や明海さんの代わりなんかも平気でやって、その中で喜悦を見つけてしまう。

もしかすると……

私は、現実の時間を見るのが怖いのかもしれない。

今まで自分がなかった分、突然『自分だけの世界』に放り込まれたら、どうしたらいいのかわからない。

どこに続いているかもわからない十字路を、好きな方向へ進みなさい、と言われるも同然だ。

そして情けなあとにも、そんなとき自分で舵を取るほどの自主性は、私には備わっていないのだった。