赤いエスプレッソをのせて

彼はお姉さんを大事にし過ぎていた。

心の中のあまりに多くを、死んでしまったお姉さんへ当てていたんだ。まるで届かない手紙を書き続けるよう。

自分を一番に逃がしてくれたお姉さんが、どうしてどうして生き残れなかったのか……

それは、自分が彼女を見捨てたからじゃないのか……

自分さえあの場に留まっていたなら、お姉さんは逃げ延び、自分はその身代わりになれたんじゃないのか……

そんな風に、彼は今さらどうしようもない堂々巡りを続けた。

彼が――実は苦いものが苦手なのに――エスプレッソを飲むのも、お姉さんが好きだったからという――そして髪が赤いのはあの時の衝撃である『血の惨劇』を、自分と切り離さないための誓いのようなもので――髪を伸ばしたり、オレンジジュースを飲んだりしている私と、似たような理由からだった。