「……悪い、ごめん」


 うっ……。

 しゅんと肩をすぼめる様は、まるで子犬が怒られた時みたい。

 反省しているのなら、これ以上とやかく言うつもりはないけれど……。

 遊び感覚や、軽い感じでそんなことを言っちゃいけませんっ!


「瑞季を怒らせたかったわけじゃないんだ、本当にごめん……」

「いいよ、もう怒ってないし」

「そっか、よかった。それじゃあ、帰宅したら荷物をまとめて瑞季の家に行くからっ!」


 ……。

 …………ん?

 どうしてそうなった?私がいつ、一緒に住むことを許可した?!


「だからそれはダメだってば!」

「なんで?だって、恋人同士じゃないのに同居している人って、この世界には大勢いるだろ?」

「それは、そうだけど……」


 あー、もう!このままだと話の終わりが見えないよ!なんとか強引に切り上げて、さっさと帰ろう!

 私がそう考えた時だった、廊下から聞き慣れた呼び声が聴こえた。


「瑞季ちゃん!」

「神代先輩?!」


 神の使いか、はたまた神そのものか……グッドタイミングです、神代先輩!


「呼ばれてるから、行くね。とにかく、ダメなものはダメなんだから!」


 話を強引に切り上げ、私は鞄を持って神代先輩のもとへと駆け寄った。