病むほど君に依存してる

「言うなれば、依存性の強い喫煙者から、タバコを取り上げたみたいな状態だよ」

「……」

「依存した“モノ”が手元に戻ってくるまで暴れて、暴れて、暴れて……それでも戻ってこないのだと知ると、今度は違う“モノ”に依存する。そうすることで、自我を保っているんだ」

「おい。ちょっと待てよ」


 聖くんが説明していると、急に孝くんが声を荒げた。


「それじゃあ……アイツは今、“何”が目の前からなくなって、あんなにも荒れているんだ?」


 言いづらいことなのか、聖くんは俯き、黙ってしまった。けど、それは私も気になる。

 その依存している“モノ”が瑠珂くんの手元に戻ってきたら、以前までの優しい瑠珂くんに戻るんだもんね?

 だったら、一刻も早く、以前までの瑠珂くんに……。


「“星河瑞季”」

「……え?なに?」


 不意に、聖くんが私のフルネームを口にした。

 てっきり、聖くんに名前を呼ばれたんだと思った私は、それに応えるように聞き返す、けれど……。

 聖くんが次に発した言葉は、私と孝くんを驚かせるのには十分すぎるものだった。


「今、瑠珂が依存している“モノ”は、“星河瑞季”。……あんたなんだよ」