「尚」
ひやりと冷たい声。
背後から落ちた、やけにでかい影の持ち主は、
「あ、大成先輩」
我らがキャプテン。
部一の高身長のやつだ。
「お前、李穂に絡んでないでちゃんとしろ」
「うえー、すんません……」
よしよし、もっと言え!
そんで殴れ!
そのあと引きずって連れて行け!
「李穂も言えよな」
「は?」
ふっざけんなよてめぇ。
あたしがどんだけ迷惑してると思ってんだくそが。
思わず詰め寄って胸ぐらを掴む。
ガチで一発入れたい……と思っていたら、ぐぐぐと頭を押してくる。
やめろ縮むだろ!
大成はあたしからばっと距離を取って、
「近い」
「……そのすぐ赤くなる顔どうにかなんねぇ?」
べしっと頭を叩かれた。
「黙れ」じゃねぇよ、本気でその癖直せって。
女子が苦手なのか、こうもしょっちゅう赤面されたらさー。
あれじゃん。
────期待しちまうだろ。