ぎゅううと唇を噛み締める。
痛い、痛い、痛い。
「おれが言うのもなんすけど、大成先輩って、本当、損な性格っすね」
呆れたように尚が笑った。
ガッ、と鈍い音。
かすかに痺れる足。
人間の3大弱点、大成のすねを蹴り上げた。
くるりとふたりに背を向けて、そのまま駆け出す。
ボトルとポカリ粉・クエン酸粉を引っ掴んで、入り口へ。
「のけ」
「さーせん!」
そばにいた部員に低い声で言えば、反射のように謝罪を入れられる。
どんだけ怯えてんだよ、くそ。
ドリンクを作りながら、滲みそうになる涙。
ぐっと奥歯を噛み締める。
なんかもう、むかついてきた。
あたしが告白してないのが悪いけど、だけどわざわざお前がそういうことを言うか。
とめろよ!
部活の邪魔とかでいいから!
「それだけで、いいのに」
でも、それさえもないから。