「今日は本当にありがとう!」 結局、最終下校時刻まで数学を教えてくれた蓮と、学校を出る。 「紗月…って電車通学?」 「うん!」 「そっか」 そう言って駅に向かって歩き出した蓮の、斜め後ろを歩く。 夕焼けに照らされた蓮の髪が、少し茶色っぽく見える。 手を伸ばせば届く距離を歩くことができるのが幸せで、幸せすぎて。 隣よりも、斜め後ろがベストなポジションだと思う。 隣だと意識して、きっと左側を向けない。