「あのさぁ…」 何か言おうとする結城くんに、首を傾げる。 「…やっぱ何でもない」 「えー?」 と、結城くんが私の髪をそっと梳いた。 「え、」 やめてよ、って振り払おうとしたのに。 結城くんの瞳があたしの瞳を捕らえて、離さなくて、その熱っぽい視線に頬が赤くなるのが自分でも分かった。 急に、周りの音なんか聞こえなくなって。 結城くんが触れてる髪に意識が集中して。 それで、恥ずかしくて下を向いた。