頑張れ、と背中を押したのは俺だった。 ありがとう、って、その笑顔を 忘れられないのも、俺だった。 結城晴に向かって走る背中を、呼び止めようともしたけど。 好きだってこの想いを、全部ぶつけて。 強引に奪ってしまいたかったけど。 伝えられなかったのは、俺の弱さと 立ち止まったままだった俺の背中を押してくれた紗月への、感謝だった。