「…ありがとう」 その声に、顔を上げると涙で少しぼやけた蓮の優しい表情。 「ちゃんと話すよ」 「うん!」 「…行ってくる」 そう言うと、昇降口に向かう蓮の背中に 「頑張れ…!」 蓮が、ちゃんと心から笑えますように。 三波先生と、優しく笑えるようになりますように。 あたしの言葉が、ほんの1ミリでも蓮の背中を押せていますように。 見上げた空は、いつもよりも綺麗に見えた気がした。