ボールを奪って、コートの真ん中近くから思いっきりシュートした篠宮。 弧を描いたボールと、揺れるネット、床に転がるそれ。 そして割れんばかりの歓声と、紗月ちゃんの笑顔。 「っ…」 クラクラする。 重い足を引きずってコートから出て、しゃがみ込んでもまだ疲れで痛い足。 Tシャツで扇いでも止まらない汗。 …悔しい。 くしゃっと前髪を掻き上げ、歪んだ表情を隠す。