「聞いてんの?」 「わっ、ごめん!」 「ったく、ボーッとしてんじゃねえよ」 だめだ、見惚れてる場合じゃなかった。 慌ててシャーペンを動かす。 「蓮、さ」 「…ん?」 「球技大会、何出るの?」 何か話したくて、ふと思いついた話を手を動かしながら聞く。 「…何も出ない」 「えー、サボるの?」 確かに蓮が運動してるところは見たことがないし、失礼だけど想像もつかない。 「そっか…出ないのか」 本当は、ちょっと見たかったな。 運動する蓮は、きっと格好良いと思う。