圧倒的だった。

発火能力を覚醒させた小山田君は、1号を手玉に取り、たやすく…と言っていいだろう…1号を倒した。

…スクラップ場には鉄の焼け焦げた匂いが充満し、そこかしこから煙が上がっている。

と。

サイレンの音と共に、赤い回転灯の明かりが見えた。

ようやく警察のお出ましらしい。

「長居は無用みたいだな…行こう、黛さん」

小山田君が言う。

「え、ええ…」

私は彼に言われるまま、スクラップ場を後にした。








騒ぎに巻き込まれないうちに、私達は遠くへ離れる。

一応、追っ手である1号は退けた。

もうそれ程慌てる必要はないだろう。

…すっかり静まり返った深夜の道路を、小山田君と並んで歩く。

「これから…どうするの?」

私は小山田君に尋ねる。

逃避行を提案したのは他でもないこの私なのに、考えてみればおかしな話だった。