それは、どれだけの力を必要とするのか。

スクラップ場に存在する全ての鉄屑達がフワリと浮き上がる。

「ウウウウウ…アァアアアアアアッ!!」

建設現場で鉄骨むき出しのビルを崩壊させたあの強力な念動力。

あの力をまたこの場で使うつもりらしい。

あの時は黛さんの瞬間移動に頼らざるを得なかった。

しかし、今は俺の力がある。

覚醒者3号としての俺の力が。

「やるしかないのか」

唇を噛んだ後。

俺は視線を1号に投げかけた。

その瞬間、俺の周囲を跳ね回っていた炎達が一斉に飛翔する!!

赤い光の尾を引いて、その炎達は天空を舞う竜のように空中を走った。

そして何物をも焼き尽くす紅蓮の炎によって、浮遊した鉄屑達を次々と破壊していく!!

その残骸が、1号の頭上に降り注ぐ!!

「…っ…!!」

悲鳴はなかった。

ただ一度空を仰ぎ、1号は降って来た残骸の下敷きとなる。

…焼け爛れた鉄屑の雨だ。

如何に1号とて生き延びる術はなかった。