頭痛は消えていた。

ただ平然と、降り注いでくる廃車達が粉微塵になっていく様を見つめていた。

…愕然とした表情で俺を見つめる黛さん。

しかし、俺に驚きはなかった。

生まれた瞬間から呼吸の仕方を知っているように。

誰に教わらなくても瞬きができるように。

頭痛が消えた瞬間に、俺は『それ』の仕方を知っていた。

これが…俺の能力…。

覚醒者3号として目覚めたという認識はあったが、別段特別な感情はなかった。

「小山田君…それ…」

黛さんが尚も驚きを隠せないまま言う。

「パイロ…キネシス…」

パイロキネシス。

それが覚醒者3号としての俺の能力だった。

わかりやすく言えば、発火能力。

念じる事で炎を発生させる。

その火力も、範囲も、形状も思うがまま。

己の意志で自由自在に蠢く炎。

それが俺の覚醒した超能力だった。