小山田君に案内されてやってきたスクラップ場は、既に夜も更けてきた事もあって戸締まりされ、施錠されていた。

とはいえフェンスに囲まれ、入り口の門が南京錠で閉ざされているだけだ。

侵入は容易だった。

私と小山田君、二人でフェンスをよじ登り、中に侵入する。

…静まり返った場内。

建物らしきものは事務所兼休憩室と思われるプレハブのみ。

そのプレハブも既に社員は帰宅したのか明かりはない。

あとは山積みにされた鉄屑。

原形を残したまま放置された自動車の群れ。

冷蔵庫やバイクなどの粗大ゴミ。

…ここは人間に捨てられた機械達の墓場だった。

その墓場に足を踏み入れる。

時折吹く風が山積みの鉄屑を揺らすのか、ギィ…と不気味な音が響く。

私はその音に少し過敏になっていた。

「こっちだ…黛さん」

こめかみを押さえたまま、小山田君が言う。

…今は何の能力にも目覚めていない小山田君。

能力的な事を言えば、彼よりも私の方が今は優れている。

しかし、夜中にこんな不気味な場所を一人で歩く事を想像すると、小山田君が側にいてくれてよかったと心から思った。

…敷地内に積み上げられた鉄屑や廃車の中を歩く。

まるで迷路のようにうず高く積み上げられたスクラップ。

ここが警察署への近道だなどと、地元の人間でなければ絶対にわからないだろう。