Darkness † Marker 4   【大禍時】

       ☆

夕方近くになって、事務所に1人の来訪者が姿を見せた。



「啓太…」



「よ、如月。怪我は大丈夫か?」


にこにこ笑いながら裕一郎の部屋のドアをノックしたのは、事件の時うやむやのまま別れた吉山啓太だった。


「河村さんが携帯に連絡くれたんだ。お前が家に帰って来てるって」


「久司が…? ってか、なんでお前の携番知ってるんだよ」


「何でって、昨日の朝にちょっと話して…それで番号交換?みたいな」


「……」


昨日も今日も、河村は啓太に連絡を取ったなどとは言わなかった。

驚かすつもりだったのだろうか。


(おせっかい…)


啓太にはもう少し心の整理がついてから、会いたかったのに。


否。


心の整理なんてつくわけがないと分かっている。

こんな事でもない限り、口に出せずただグズグズと悩むだけなのだ。

河村は彼のそんな性格を、とてもよく理解していると思う…。

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