《やめて…嫌―っ》
女が最後の抵抗とばかり河村に向き直り、ただれて歪んだ口を大きく開け襲いかかってきた。
それは一瞬の油断。
「!!」
しかし噛まれる寸前のところで鬼神が動き、もう片方の女の腕をもぐ。
辺りに肉と骨の裂かれる鈍い音が響き、
ドサリ…
女は声もなく地面に崩れ落ちた。
「か、河村っ!!」
その時、双瀬の声が響く。
振り向くと、石を動かしこちらへ向けた面が淡い光を放っている。
「ようやく道が繋がったか…」
そう呟くと、彼は倒れている女の体と石が光を放つ場所を結ぶよう刀印で文字を刻んだ。
「大人しく黄泉の国へ行け…そして、向こうで然るべき裁きを受けるんだな」
静かに声をかけると、女の姿が薄くなる。
「式、悪いがこいつを黄泉の入口まで送り届けてくれ」
河村の言葉に鬼神は頷くと、女の襟首を掴んで地面を引きずり、霊道の中へと消えていった。
それと同時、わずかな間だけ無理に開けた霊道が塞がる。
「ふぅ…」
見送った後、軽いタメ息をついた彼は煙草をポケットから取り出し火をつけた。
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