ザリッ…
わずかにだが動いたのを確認すると、
「よくも俺の可愛い家族を酷い目に合わせてくれたよな…覚悟は出来てるか」
河村は見下した視線を向け、女の側に式鬼を放つ。
《ひっ…お、鬼…!?》
その姿を見て、女は異常なくらいおびえた表情を浮かべた。
河村に掴まれた腕から逃れようと、凄い勢いでもがき暴れだす。
しかしその束縛からは、どうやっても逃れることができなかった。
「貴様みたいな霊は、普通にあの世へ行けると思うなよ。式、女の未練がこの世に残るその腕を断ち切ってしまえ」
冷酷な声が命令する。
すると恐ろしい形相の大きな成りをした鬼が、女の腕をいとも簡単にもぎ取ると大きな牙を持つ口に入れた。
ぐしゃり
ぐしゃり…
裕一郎と繋がる未練の塊が、異様な音を立てて噛み砕かれ飲み込まれる。
《ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!》
耳を劈(つんざ)く悲鳴が女の口から上がった。
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